【東方SS】『妖夢のお気に入りスニーカー』

「妖夢の誕生日プレゼントは何がいいかしら?」

幽々子は、黙々と庭木の手入れをしている妖夢に、唐突な質問を投げかけた。

虚を突かれたように妖夢は目をパチクリさせながら、枝を刈る手を止めて幽々子を訝しげに見て答える。
「ありがとうございます。幽々子様のそのお気持ちだけで私は十分です。」

遠慮と建前でがんじがらめにされたような返事に、幽々子は肩を落とした。
ホントこの子は、年頃な娘らしく喜んだり、プレゼントにワクワクしたりしないのかしら?

でも幽々子は気づいていた。妖夢の目に僅かな期待の光が浮かんでいたことに。

「それじゃあ明日、買い物に付き合ってくれるかしら?」
そう提案する幽々子に、妖夢はほんの少し嬉しそうにうなずいた。

・・・

翌日、幽々子と妖夢は冥界の門を抜け、人間の里に来た。

人間を怖がらせないよう、半霊はお留守番。妖夢と幽々子は紫にもらった洋服に身を包んでいる。
里の商店が並ぶ町並みを歩きながら、幽々子は妖夢をちらっと見ると、店先に並んでいる商品に目を輝かせている。

「幽々子様、今日は大根がお買い得みたいです。今夜はぶり大根にしましょう!」
そう言って妖夢は行きつけの八百屋に足早に駆け寄っていく。

幽々子はがっくりと方を落とす。ほんとに、この子は・・・。

ふと幽々子は妖夢の足元を見ると、ボロボロの靴を履いているのに気づいた。
たしかずっと前に買ったローファー?とかいう種類の靴だったかしら。

・・・

幽々子は大根を両手に持つ妖夢を引き連れて、靴屋を訪れた。

幽々子は店をぐるっと見渡して、運動しやすいであろう靴を見つけた。
どうやらスニーカーとかいう種類の靴らしい。

その中から妖夢に似合いそうな緑のラインが入った可愛らしいものを選び、妖夢に履かせてみた。
サイズはピッタリみたいで、あまり顔に出さないようにしているようだが、嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている仕草でバレバレだ。

幽々子は靴の代金を支払い、そのまま履いて帰らせることにした。
心なしか妖夢の歩幅が大きくなった気がして、軽やかに歩く妖夢はふいに振り返ると、

「幽々子様。新しい靴ありがとうございます。一生大事にします!」
と笑顔で言い、また前を向いて歩き始めるのであった。

幽々子はそんな妖夢を見て、心が満たされたのであった。

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